メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第194号

2012年1月27日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
194号 2012年1月27日発行
(毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「教えやすさ」と「学びやすさ」/その7
「学びのしかけ」プロジェクトリーダー
東北福祉大学 上條 晴夫
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プロジェクトリーダー、上條さんの久々の論考です。
シリーズ7回目になります。これまでの論考は、下記で順番に追って読
むことができます。
その1 http://archive.mag2.com/0000158144/20100917230000000.html
その2 http://archive.mag2.com/0000158144/20101130230000000.html
その3 http://archive.mag2.com/0000158144/20110125230000000.html
その4 http://archive.mag2.com/0000158144/20110426230000000.html
その5 http://archive.mag2.com/0000158144/20110816230000000.html
その6 http://archive.mag2.com/0000158144/20111206230000000.html
(石川 晋)
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1.「教えやすさ」と「学びやすさ」/その7
「学びのしかけ」プロジェクトリーダー
東北福祉大学 上條 晴夫
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東日本大震災をきっかけに少し「facebook」にはまり込んでいます。
ウォールに新しい教育の考え方や授業づくりについて話題提供の記事を
書いて、「友だち」から「いいね!」ボタンを押してもらったり、コメントを
もらったりしています。
ワイワイガヤガヤとみんなで考えていくSNSを楽しんでいます。
そのfacebookの最新の記事に次の文(記事)を書きました。

「学生版名言・至言集(学生が講義レポートに書いた名言・至言の紹介)。
『わたしの中での国語は席について行うものであり、意見は手を挙げて述
べるものでした。しかし、ワールドカフェを行ってみて衝撃を受けました。
ワールドカフェを行っている間はざわざわしており、本当にこれで大丈夫
なのかとすら思いました。けれどもいざ意見を聞いてみると、深く考えら
れたものが多く、説得力のあるものばかりでした。真面目に考えることが
よいのではなく、ゆるさの中に、飾らない意見(うまいことを言おうとし
た意見ではないもの)があり、学びにつながるのだと思いました』」

この記事に本MM執筆者の一人・筑田周一さんと次のようなやりとりを
しました。
筑田:「席についていることを『真面目に考えている』と受け取っていた
んですね」
上條:「なるほど!!『席についていること』だけではなく、『意見を自
由に言わないこと(手を挙げて述べること)』も『真面目に考えてい
る』ことと受け取っているようですね。そしてこれってこの学生だけ
のことではない気がします」
筑田:「そうですね。私も、どうしても『あるべき姿』といった形にとら
われてしまって,中身を吟味しないことがよくあります。
『一斉授業でなければならない』
『授業中は背筋を伸ばして、きちんと前を向いていなければならない』
一方にそうした見方があって、批判したとしても、
『グループ学習でなければならない』
『生徒達がいきいきと活動していなければならない』
というのも、内実が伴っていなければ、危ういものになるでしょう。
常に形骸化を警戒して、内実がどうなっているかを、問い続けていく
のが重要なんでしょう」

ところで、わたしは、このコメントの交流をさせてもらいながら「教え
やすさ」と「学びやすさ」について、少し極端な思考実験をしていました。

それは学習者である学生がワールドカフェのような「衝撃的」(実験的)
な授業づくりに出会うまでは「席についていること」や「意見を自由に言
わないこと(手を挙げて述べること)」のような「真面目に考えること」
授業だけを「学び」と考えて、それ以外の学びの可能性について考えるこ
とが出来ていなかったらしいという事実についてです。

もちろん学生たちの中には、少数ではありますが、自分の体験した「席
についていること」「手を挙げて述べること」だけの「真面目に考える」授業
について、批判的に考えることができる者もある一定数いることはいます。
しかし大半は体験の枠内で考えます。
ようするに、自分の経験した「学び方」に縛られるということです。

この「自分の学び体験に縛られる」ことについて。ビル・リー著『実践
コミュニティーワーク』(学芸社)の中に次のような一節を見付けてドキ
リとしました。
「人は慢性的にコントロールを失った状態を経験すると、挑戦することを
やめ、慣れきってしまった世界に引きこもってしまう」(ランガー)

わたしが「教えやすさ」「学びやすさ」を考えるようになったきっかけは
学級崩壊です。何故かというと、学級崩壊の根っこには「席についている
こと」「意見を自由に言わないこと」という学習者間の「コミュニケーシ
ョンの遮断」があります。そういう「コミュニケーションの遮断」がなぜ
行われたのかというと、教師の「教えやすさ」のためです。
学級崩壊では、それに対して「離席」「私語」という抵抗的な現象が発
生します。

しかし、その「コミュニケーションの遮断」が、学習者を「慢性的に(自
発的なコミュニケーションを)コントロールを失った状態」にしていると
までは考えていませんでした。しかし、ランガーの命題が真であるとする
と、学習者である子どもたちは、「席についていること」「自由に意見を言
わないこと」という「教えやすさ」原理によって「挑戦することをやめ、
慣れきってしまった世界に引きこもってしまう」ということになります。
これって、めちゃめちゃに怖いことだなあと思います。

もちろん、これは少し極端な思考実験です。実際に行われている現場の
授業で、ずっと「席に着いていること」「自由に意見を言わないこと」を
要求するような授業は、恐らくないと言っていいでしょう。教師は子ども
の様子を見ながら、意識的に雑談をしてみたり、活動タイプの授業断片を
活用することによって、「コミュニケーション」を自分なりにコントロー
ルする体験もさせていると思います。しかし、この二大ルールをあまり厳
格に適応して、学習者のコントロールの感覚は奪ってしまうのは危険だな
あと思いました。

上でわたしがやったことは「教えやすさ」の「学びのしかけ」がどうい
うメリット(チャンス)とデメリット(リスク)を持っているのかという
ことを思考実験してみたということです。筑田さんが「内実」と言ってい
ることの一つが、この自分が自分で「学びコミュニケーション」をコント
ロールしているという実感じゃないかと思います。それがないと、学習者
たちは、ある種の無気力状態(=「活気がない」状態)になるということで
す。

授業づくりネットワーク誌の最新号
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【編集後記】
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残りわずかとなった本メールマガジン。
いよいよラストスパートです。
今後の執筆陣をご紹介します。
新しい学びの在り様に関心の高い仲間の方々にも、ぜひご紹介ください。

1月29日日曜日 ハイブリッドチーム    佐々木潤さん
1月31日火曜日 ワークショップチーム   佐竹康弘さん
2月3日 金曜日 インクルージョンチーム  池田康子さん
2月5日 日曜日 ワークショップチーム   佐藤美智代さん
2月7日 火曜日 ライフヒストリーチーム  吉永紀子さん
2月10日金曜日 ワークショップチーム   中嶋卓朗さん
2月12日日曜日 インクルージョンチーム  湯藤瑞代さん
2月14日火曜日 ワークショップチーム   遠藤安孝さん
2月17日金曜日 ハイブリッドチーム    中村健一さん
2月19日日曜日 ワークショップチーム   成瀬陽子さん
2月21日火曜日 インクルージョンチーム  平嶋大さん
2月24日金曜日 ワークショップチーム   大橋邦吉さん
2月26日日曜日 ライフヒストリーチーム  秋澤美加子さん
2月28日火曜日 ワークショップチーム   岩瀬直樹さん
3月2日 金曜日 ハイブリッドチーム    堀裕嗣さん
3月4日 日曜日 インクルージョンチーム  神吉満さん
3月6日 火曜日 ワークショップチーム   山崎正明さん
3月9日 金曜日 インクルージョンチーム  池田康子さん
3月11日日曜日 ワークショップチーム   平山雅一さん
3月13日火曜日 ハイブリッドチーム    喜岡淳治さん
3月16日金曜日 ワークショップチーム   藤原由香里さん
3月18日日曜日 ハイブリッド副編集長   佐内信之さん
3月20日火曜日 インクルージョン副編集長 藤原友和さん
3月23日金曜日 ライフヒストリー副編集長 長瀬拓也さん
3月25日日曜日 ワークショップ副編集   加藤恭子さん
3月27日火曜日 学びのしかけMM編集長  石川晋さん
3月30日金曜日 学びのしかけ代表     上條晴夫さん

なお、執筆者や執筆順番は変更になることがありますので、ご了承くだ
さい。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第194号(読者数1827) 2012年1月27日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
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編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第193号

2012年1月24日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
193号 2012年1月24日発行
(毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「いのち」の授業における生徒の困惑と問題解決
「ワークショップ」編集委員
山形大学 江間 史明
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江間史明さんの登場です。江間さんも今回で連載はひと区切りとなりま
す。最終回は、ご専門の社会科を少し離れ、「いのち」の授業についての
分析をご紹介くださいます。              (石川 晋)
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1.「いのち」の授業における生徒の困惑と問題解決
「ワークショップ」編集委員
山形大学 江間 史明
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今年度の授業研究のシーズンが終わりつつある。1月までで90コマほど
の授業を各学校で参観して学んできた。改めて、授業の基盤は、子どもた
ち一人一人が問題解決の活動に取り組むことだと感じている。今回は、社
会科を離れて、印象に残った授業の事例から考えてみたい。

1 「いのち」の授業(中学1年)
担任の先生と養護の先生とのティーム・ティーチングの授業である。受
精のことを学んだあとで、へその緒が教材だった。
はじめに教師は、へその緒が母親と胎児を結ぶ管であることを、赤ちゃ
んの人形と管で簡単に説明。そして「へその緒をながれる血は誰の血だろ
う」と問いかけた。
一瞬、生徒が不思議な表情になる。血液型が子どもと母親で違う場合が
あるからである。「誰の血か」という教師の再度の問いかけに、生徒は考
えられるパターンをあげて説明していく。母親、父親、母親と胎児の両方、
母と父の両方、胎児、祖先(?)という具合である。ここで、胎児と母親
の関係を、酸素や栄養、老廃物の流れでたどれば、父親という選択肢は考
えにくい。父親と胎児はつながっていないからである。しかし、父親とい
う選択肢を加える生徒は7~8人いる。受精のときに、父親の精子を受け継
いでいることや、血液型が子どもと父親で同じということがひっかかって
いる。生徒は、自分と家族の関係のなかで考えているのである(なお、祖
先は、教師の判断で選択肢の枠に加えなかった。子どもの発言すべてに教
材性が同じようにあるわけではない)。
パターンがでた後、一人一人が自分の考えをノートに書く。その後、4
人グループで交流する。
「お母さんの血だろう?」「自分と母はO型、妹と父はA型、だから両方?」
という声が聞こえる。生徒の困惑が深まる。5分後、分布をとると次の通
り。母親の血:5人、父親の血:0人、胎児の血:6人、父と母の血:9人、
母と胎児の血:12人。
教師が反論を促すと、3人が発言。その後、「困った時のA先生」と紹
介されて養護の先生が登場。先生が、へその緒の血は、胎児の血と示す。
そして、酸素や老廃物が母親と胎児の間でどう動いているかを説明する。
生徒から、「自分の血なんだ」という声があがる。生徒は、母親と血液型
が違ってよいことに安心しつつ、次のように、ふり返りで書く。
「胎児だということがわかって、胎児自身も自分の力で血液などを取って
いて、だから[血液型が]母親と違う人もいるんだとわかった。そこで人は
生まれる前から自立していて自分で自分の命をつないでいるとわかった」
([ ]は江間)
授業の最後に、生徒が「自分の血」「自分の命」と受け止めていること
が印象に残った。

2 この事例から学べること
第1に、へその緒の知識は、教材であることについて。この授業で最初
から、教師がへその緒の機能を、図を示して説明すれば、5分程度で終わ
るだろう。だが、その知識を説明するだけでは、生徒が困惑することもな
く、自分の命について考えを深めることもない。教師の仕事は、1.へそ
の緒に生徒を出会わせ、2.生徒に自分の思いを率直に語らせて「問い」
への困惑を深め、3.学んだ内容で自分の「いのち」についての見方を更
新させることにある。先に引用した生徒のふり返りで言えば、前半部分で
終わらず、後半部分にまで思考がのびることが大事なのである。
第2に、交流の場の機能について。この授業では、一人一人が「へその
緒の血は誰の血か」を考えた上で、「はっきりしない」という困惑を共有
する場になっている。最初から教師の示す情報も限られているから、当然
の生徒の受け止めであろう。困惑するから、なんとか「はっきりさせたい」
という一人一人の問題解決的な思考が始まる。このような交流の場である
から、各グループから、意見を発表させる必要もない。教師の設定する内
容と課題設定との関わりで、相互交流のあり方は変わる。重要なのは、相
互交流の場面が、子どもたちが取り組む問題解決的な思考の文脈に埋め込
まれていることである。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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江間さんにも、前号の青山さん同様、このプロジェクトの立ち上げ当初
から関わっていただきました。毎回豊富な授業参観の中からご紹介いただ
く実践例に、私自身が「困惑」し「見方を更新」しています。これまで私
達が目にする授業記録というのは、すぐれた授業技術によって見事に生徒
を決められたゴールに導き落とすものが主であったと感じています。江間
さんがご紹介くださるものは、いつも、そうした文脈とは違って、学び手
につまづきや戸惑いの発生する場面や課題に焦点を当てたもので、私自身
の授業観の「更新」をも迫るものでした。今号の原稿にも引きつけられま
した。

次号は、久々にプロジェクトリーダー上條晴夫さんの登場です。どうぞ
お楽しみに!
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第193号(読者数1826) 2012年1月24日発行
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ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第192号

2012年1月22日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
192号 2012年1月22日発行
(毎週火金日発行)
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★目次★
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1.学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ
~2年間の連載を通して見えてきたこと~
「インクルージョン」編集委員
ノートルダム清心女子大学  青山 新吾
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青山新吾さんの登場です。今回で連載はひと区切りとなります。2カ年
にわたる執筆稿の流れを整理して、価値づけをしてくださっています!
(石川 晋)
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1.学びにくさを有する子どもへの学びのしかけ
~2年間の連載を通して見えてきたこと~
「インクルージョン」編集委員
ノートルダム清心女子大学  青山 新吾
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ある学生との会話である。
「教育実習で、子どもたちの発言があまりにも少ないから、学習ゲーム
を使った算数の授業をさせていただいたんです。」
「へー、おもしろそうだね。」
「そうしたら、いつもと授業とは違って、子どもたちがイキイキ活動し
たのです。」
「活動が活発に見えたわけだね。」
「授業が終わってからの担当の先生からのご指導で『子どもが頑張って
いましたね。でも、5年生の授業としては騒がしすぎましたね。』と言わ
れたのです。」
「なんと!」
「あー、これが青山先生が以前講義でおっしゃっていたことなのか~と
思いました。」
「うん。まさか、それをその場で言ったとか!?」
「いえ、黙っておきました(笑)。」

ここには、誰かが決めたことではないにもかかわらず、小学校高学年の
授業は静かに行われるものであるという前提があるように思われる。そし
て、ここには「子どもにとっての学びの内容」といった、子どもの「学び」
という発想がないように見える。
しかし、本連載でこだわってきたのは「子どもにとっての学び」である。
しかも、それは「学びにくさを有する子どもの学び」である。
2年間の自身の論稿を振り返り、見えてきたことを考えたい。

メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」(以下メルマガとする)
第51号では、ある自閉症・情緒障害特別支援学級での様子を報告した。
そこでは
・ことばや状況の理解
・友だちとの人間関係の難しさ
に課題を有すると思われる子どもが、友だちと「協力」して複数のブック
エンドを制作し、それらを校内の他のクラスにプレゼントする一連の取組
があった。
http://jugyo.jp/?p=220
この取組では
・グループで
・子どもの興味関心のある題材で
・周囲からの期待を感じながら
・「協力」する場面が生じるように
・後で「視覚的に」授業を振り返ることができるような
「学べるためのしかけ」が施されていると考えた。

メルマガ第80号では、通常の学級の算数の授業の中で見た「協同的な
学び」で学べないように見える子どもの様子を報告した。
http://jugyo.jp/?p=336
そこでは、単に「協同的な学び」の場面を設定するだけでは、依然とし
て学びにくい子どもが存在すること、その場合には、個別のかかわりの中

・子どもの試行の筋道を知りたい
・子どもの「本人論理」を知りたい
・子どもの「しんどさ」を知りたい
・子どもと感情の交流をしてみたい
といった願いを持った。協同的な学びでは学びにくい子どもについて、子
どものことばに耳を傾け、子どもと対話し、人と一緒に、学びにくい子ど
もたちの「学びやすさ」を考える作業の必要性を考えた。

メルマガ106号では、ある通常学級の算数の授業における「学びにく
さ」を有する子どもたちの様子とそこへの「しかけ」を考える際の発想に
ついて報告した。
http://jugyo.jp/?p=422
そこで見た子どもたちの「学びにくさ」を
・言語指示の理解しにくさ
・理解のスピードのゆっくりさ
・活動のゆっくりさ
・基礎知識等の不十分さ
・自信のなさ
等ととらえた。そしてその子どもたちの「学びやすさ」のためにしかけを
「教師による個別指導の時間確保」以外に探ろうと試みた。その際最も重
要なのは、学習に苦戦している子どもたちについて「教えやすさ」の発想
だけではなく、「学びやすさ」へ対応する発想を持つことだと考えた。

メルマガ145号では、大学における自身の講義の様子について報告し
た。
http://jugyo.jp/?p=532
多様な実態の子どもたちをくるんだインクルーシブ発想の教育を考える
際の重要な視点に、「協同的な学び」があると考える。それを学ぶ過程に
おいて、まずは私たち関わる側自身が「協同的な学び」を実感することが
重要だと考えた。

これら4本の論稿のそれぞれのキーワード、キーフレーズは
・学びのしかけ
・協同的な学びと学びにくい子ども
・「学びやすさ」の発想
・関わる側の実感
であった。

この秋弘前大学で行われた日本特殊教育学会において、自主シンポジウ
ム「保育・教育現場の多様な実態に応じた取組を考えるその1 ー子ども
の「学びやすさ」に応じるー」を企画した。
企画者・司会者   青山 新吾(ノートルダム清心女子大学)
企画者・指定討論者 堅田 利明(大阪市立総合医療センター)
企画者・指定討論者 久保山茂樹(国立特別支援教育総合研究所)
話題提供者     森本亜紀子(あけぼの幼稚園)
話題提供者     上條 晴夫(東北福祉大学)
指定討論者     藤原 友和(函館市立昭和小学校)
のメンバーで行ったこのシンポジウムでは、幼稚園での一人一人のそだち
を確かめつつのゆるやかな学びの環境の整理から学べること、小学校以降
の教育において、教師たちが子どもの側に立つことや、学びやすさの実現
に向けて、省察し変容していくことを妨げているものは何かについての問
いかけがなされた時間であった。
今年も、データを元にして、このテーマでの自主シンポジウムを継続す
る予定である(2012年9月28日~30日 於:筑波大学)。
http://www.jase.jp/common/img/50taikai.jpg

2年間の取組から見えてきたことは何か?
それは、教育の根幹に流れる「学びやすさ」の発想を実感していくこと。
また、単に協同的な学びを行えば、「学びにくさを有する子ども」が学
べるようにはならないこと。そのためには、協同的な学びの精度を上げる
とともに、個への必要に応じたかかわりが重要であると思われる。つまり、
それらを併せた形での、個を見つめる「個の物語」を丁寧に紡ぐ必要性を
感じるのである。
これらの課題を踏まえ、今後も愚直な取組と検討を行っていこうと思う。
そして、それを提案できる形にしていきたいと考えている。
2年間お読みくださった皆様、ありがとうございました。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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青山さんにはこのプロジェクトの立ち上げ当初から関わっていただきま
した。青山さんご自身にとっても、行政職から大学へ転出という大きな節
目の時期にご執筆いただくことになりました。お忙しい合間を縫ってのご
執筆に感謝です。
青山さんの御講演のDVDが発売になりました。私も早速購入しました。
おすすめです。
明日の教室DVDシリーズ第20弾「僕が自閉語を学ぶわけ」(kaya)
http://sogogakushu.gr.jp/asunokyoshitsu/dvd_020.htm

次号は、江間史明さん。ワークショップチームから登場です! どうぞ
お楽しみに!
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
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編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
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編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
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