メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第223号

2012年3月30日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
223号 2012年3月30日発行
(毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「教えやすさ」と「学びやすさ]/その7【最終回】
「学びのしかけ」プロジェクトリーダー
東北福祉大学
NPO法人授業づくりネットワーク理事長  上條 晴夫
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プロジェクトのリーダー、上條晴夫さんの最終号です。2年間の「学び
のしかけプロジェクト」の最終号となります。これまでの原稿はこちらか
らご覧いただけます。
その1 http://archive.mag2.com/0000158144/20100917230000000.html
その2 http://archive.mag2.com/0000158144/20101130230000000.html
その3 http://archive.mag2.com/0000158144/20110125230000000.html
その4 http://archive.mag2.com/0000158144/20110426230000000.html
その5 http://archive.mag2.com/0000158144/20110816230000000.html
その6 http://archive.mag2.com/0000158144/20111206230000000.html
(石川 晋)
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1.「教えやすさ」と「学びやすさ]/その7【最終回】
「学びのしかけ」プロジェクトリーダー
東北福祉大学
NPO法人授業づくりネットワーク理事長  上條 晴夫
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2010年5月からスタートした「学びのしかけ」メールマガジンが当
初の予定を終了します。まぐまぐの最新データを調べてみると、週3回発
行で1985部。30000誌ある「まぐまぐ」メールマガジンのカテゴ
リー別(教育・研究)分野で総合35位にランキングされています。デイ
リーアクセスランキングでは第10位だそうです。編集長・石川晋氏とライ
ターの先生方の熱筆の賜と考えています。

本メルマガは次の4テーマを柱に動いてきました。
1)ライフヒストリー
2)ワークショップ
3)インクルージョン
4)ハイブリッド
高度経済成長時代にその基盤を作ったといわれる「日本の学校教育」を
様々な角度から検証して、新しい教師教育の視点と授業づくりのヒントを
提案してきました。決して読みやすい内容の記事ばかりではなかったです
が、一定の支持を得たと思います。ありがたく思うと同時に、時代の変化
を感じることができました。

この2年間には、昨年3月11日の東日本大震災があって、宮城県仙台
市在住のわたしは自宅で被災しました。自分のブログに記録として、自分
の被災をしたようすを少しでも書きとめようとして、ほぼその日から少し
ずつ書き込みをしたのですが、いま読み返してみると、本当に「歩いた」
「食べた」「歩いた」「食べた」とそんな記事ばかりです。
渦中に入ると、全体が見えなくなるんだなと改めて実感をしました。

この1年間に「学びのしかけ」を考える2つの大きな出来事がありまし
た。
1つは昨年8月、オランダで体験をしたユトレヒト大学教授のフレッド
・コルトハーヘン氏による「教師教育ワークショップ」です。「技術合理
性」モデルによる教師教育から「リフレクション(省察)」モデルによる
教師教育へのパラダイムシフトをワークショップを通して、感じ、考える
ことができました。個々の「スキル」の大切さと同時に教師としての「あ
り方」(本気度)が学習者の学びを規定するのだと実感することができま
した。
2つは本年3月、成蹊大学で行ったケーガン・ワークショップです。ケ
ーガンの「協同学習」を学ぶことが「活動中心の授業」の土台を作ると直
感し、震災2ヶ月後の5月にはケーガン勉強会を立ち上げ、隔月で学んで
きました。その流れの中で南アフリカ研修から帰国途中のケーガンを日本
に招請することができました。そこには「学びのしくみ」(ストラクチャ)
の授業への適応に関して、最も自覚的な「学びの姿」がありました。

「学びのしかけ」をテーマにした本メルマガを2012年3月で一区切
りとさせていただきたいと考えています。少し休憩をとって、スタッフた
ちと、この2年間の成果を踏まえた新しいテーマを考えて、1ヶ月後ぐら
いには再スタートしたいと考えています。

わたし的には、新しいキーワードは「教師の質的研究」(教師の質的研
究の原理と技術をサポートする)プロジェクトを考えています。「学びの
しかけ」というキーワードもそうでしたが、これも少々説明が必要になり
そうです。わたしの所属する教育研究団体「授業づくりネットワーク」の
メンバーたちと話をし、再出発をしたいと考えています。
今後ともよろしくお願いします。
2012年3月20日
プロジェクト・リーダー 上條晴夫(東北福祉大学)

メールマガジン『学びのしかけ』プロジェクトに参加したのは次の方た
ちです。

■2010年

★ライター

【ワークショップチーム】岩瀬直樹さん、江間史明さん、筑田周一さん、
平山雅一さん、山田将由さん

【インクルージョンチーム】青山新吾さん、石川拓さん、田中博司さん、
増川秀一さん、渡邉謙一さん

【ライフヒストリーチーム】大木馨さん、藤原顕さん、松崎正治さん、
森脇健夫さん、吉永紀子さん

【オムニバスチーム】阿部隆幸さん、乙部啓二さん、菊池省三さん、
佐内信之さん、中村健一さん

★編集者

編集長:石川晋さん

副編集長:加藤恭子さん(ワークショップ)、藤原友和さん(インクル
ージョン)、長瀬拓也さん(ライフヒストリー)

■2011年

★ライター

【ワークショップチーム】 岩瀬直樹さん、江間史明さん、遠藤安孝さん、
大橋邦吉さん、岡山洋一さん、佐藤美智代さん、佐竹康弘さん、筑田周一
さん、平山雅一さん、藤原由香里さん、山崎正明さん、山田将由さん、
蓮行さん

【インクルージョンチーム】青山新吾さん、池田康子さん、石川拓さん、
神吉満さん、喜岡淳治さん、田中博司さん、平嶋大さん、増川秀一さん、
湯藤瑞代さん、渡邉謙一さん

【ライフヒストリーチーム】秋澤美加子さん、今宮信吾さん、大木馨さん、
藤原顕さん、松崎正治さん、森脇健夫さん、吉永紀子さん

【ハイブリッドチーム】 阿部隆幸さん、乙部啓二さん、菊池省三さん、
佐々木潤さん、中嶋卓朗さん、中村健一さん、成瀬陽子さん、堀裕嗣さん

★編集者

編集長:石川晋さん

副編集長:加藤恭子さん(ワークショップ)、藤原友和さん(インクル
ージョン)、長瀬拓也さん(ライフヒストリー)、佐内信之さん(ハイブ
リッド)

★プロジェクトリーダー
上條晴夫

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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2年間お読みいただいてありがとうございました。
4月以降、少しお時間をいただいて、本メルマガは、リニューアル発信
することになります。私の編集長としての務めは今号を持って終了ですが、
4月以降の新しい動きにもどうぞご期待ください。

北海道もようやく雪解けの季節を迎えました。いよいよ新年度がはじま
りますね!
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第223号(読者数1895) 2012年3月30日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
twitterはこちら⇒ http://twitter.com/#!/gbc02527
Facebookはこちら⇒ http://www.facebook.com/haruo.kamijo
編集部ではチームに分かれてMLによって原稿検討を行っています。本メ
ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第222号

2012年3月27日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
222号 2012年3月27日発行
(毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「学びのしかけ」研究を通して考えてきたこと
「学びのしかけ」メールマガジン編集長
上士幌町立上士幌中学校    石川 晋
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2年間編集長を務めさせていただきました。私(石川晋)の最終執筆回
となります。          (石川 晋)
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1.「学びのしかけ」研究を通して考えてきたこと
「学びのしかけ」メールマガジン編集長
上士幌町立上士幌中学校    石川 晋
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「学びのしかけプロジェクト」メールマガジンの編集長を務めた2年間
は、それまで少しずつ考えていたこと、感じていたことが、一挙に自分の
中で動き出して、大きな流れになっていく、そういう時間だった。

このプロジェクトに関わる直前、2009年夏、ぼくは授業づくりネットワ
ークの全国大会の席上で、模擬授業提案をした。ぼくに与えられた課題は、
「ハイブリッド型」授業を具体的に提案するということである。
ぼくはふだん授業で行っている「オムニバス型授業」の中の二つのユニ
ット(古典的な読み取り+ミニワークショップ型授業)を、短い模擬授業
時間で行った。島崎藤村の「初恋」の読み取りの後、矢井田瞳の「初恋」
を読み、「初恋について」と題する作文を書くというものだった。要する
に、教科書掲載の詩と、ポップミュージックの歌詞とを比較読みして、発
展的に、作文を書く授業である。会場では、教室同様、大変多様で豊かな
作文が生まれ、授業はおおむね順調に進んだ。
しかし、授業後の検討で、会場から一つの問題点が指摘された。ぼくは
作文を書く時間に、BGMとして、矢井田瞳の「初恋」を流した。この音
楽で集中できない生徒がいるはずである、という指摘だった。
その質問に対して、当然、反論した。つまり、オムニバス授業では、短
いユニットを組み合わせることで、苦手な学習でも、次の得意な学習まで
我慢できる。音楽が流れている方が軽快に書ける生徒もいる、そういうこ
とを、ぼくなりの教室実感に基づいて説明し、反論した。

なぜ、このやりとりを紹介したか。
それはこの時、ぼくが大切に考えていたことが、学び手の「学びやすさ」
ではなく、ぼく自身の「教えやすさ」の方だったのではないか、とずうっ
と考え続けることになったからだった。

例えば、ぼくは「物語の読み聞かせ」を長く続けてきた。しかし、生徒
の「授業感想文」を読むと、この「物語の読み聞かせ」についても、不得
手にしている可能性のある生徒がいることがわかる。
多くの生徒は、楽しみにしている。しかし、明らかに一部の生徒は、得
意としていない、あるいは苦痛に感じている場合さえある。

同様に、作文を書いている最中に音楽を流すという活動についても、す
べての子どもたちの「学びやすさ」を考えるということで言えば、どうな
のだろう、という思いが、少しずつ私の中にも芽生えてきているわけだ。
ぼくにとって、この二つの問題は、いわば地続きの問題である。

結果、ぼくの国語の授業は、この2年間でそれまでの方向を一挙に加速
させることになった。生徒が、多様な座席配置によって、前後左右自由に
話し合い、ホワイトボードを縦横に活用して、「対話」しながら協同で課
題を解決していく。さらには、教室の内外を必要に応じて自由に立ち歩き
交流する。
教室も3分割し、たたみやテーブルを持ち込んでいる。新進気鋭の画家
の作品が並べられたスペースがある。生徒は休み時間は、教室に20組以
上用意されたボードゲームやカードゲームでワイワイと男女入り混じって
遊んでいる。一方で奥の部屋で、一人で座って本を読んだり、ハムスター
とたわむれたりする生徒もいる。
学びの場、学ぶ内容のオーナーシップは、できる限り、子どもたちの側
に渡したい。そう考え続けていた。
まさにじたばたしながら、生徒と相談し、悩みながら教室設営も授業も
創っては壊し、また創っては壊ししながら歩いてきた。
それまでの教師主導、一斉型の授業は、日本の伝統的な学習スタイル
である。したがって、安定的な「制度」として機能してきた。しかし、ぼ
くの「選択」は、同時に「選択する私」の責任をも伴うことになる。なか
なか厳しいなあと感じていた。

こうした取り組みは、当然、校内ではいろんな小さな衝突も起こすこと
になる。管理職にも同僚にも、「価値のインストラクション」を丁寧にし
ながら、自分の取り組みの必要を伝え続ける、なかなか骨の折れる時間で
もあった。学校を無自覚に覆っている「制度」との小さな衝突を体験しな
がら、「同僚性」という名の下にやってくる「同調圧力」「同質性」の問
題にどのような概念を「対置」するべきなのか、そのこともずうっと考え
続けた時間であった。

*   *   *

ぼくは、4月から育児休暇をいただいて、一年間休職することになる。
先日、地域の「離乳食講座」に参加した。
集まった4家族のうち一家族は、地域の家庭に嫁いで来られた中国系の
女性の方とそのお子さんである。北海道の田舎のこの街でも、確実に、外
国籍や文化の違う民族出身の生徒が、小学校中学校の中に、増えて行く。
さらには、発達がアンバランスな生徒、貧困の中にいる生徒、多様な学校
イメージを持った生徒、食物アレルギーなどを持った生徒、本当に多様な
生徒がクラスを構成し、ともに生活しともに学ぶという状況が生まれてい
る。
こうした新しい状況に対応するための、新しい「学びのしかけ」を真剣
に考える2年間だった。

私事ながら、4月末に、ぼくにとっては初めての単著が刊行となる。
国語の本という体裁をとりつつ、中身は、クラス経営と教科経営の連動
の可能性を、ぼくなりに真剣に探った2年間の記録になっている。書名も
決まった。『「対話」がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア
62』(明治図書)である。ぜひともお読みいただきたいと願っている。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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2年間の編集で最も勉強になったのは、まぎれもなく編集長であったぼ
くだと思います。
1900名に及ぶ読者の方々の存在に勇気づけられて、なんとか編集を
続けてくる事ができました。ありがとうございます。
また、錚々たる執筆陣にご協力をいただけたことは感謝でした。ぼくは
長く自主的な研修会を開催して、多くの人の出会いの場を作ることに腐心
してきましたが、あらためて、一人で仕事するよりも、たくさんの人と「
協同」で仕事する方が性に合っているなあと実感しています。

いよいよ次号が、ぼくの編集する最後の号になります。
30日発行です。プロジェクトリーダー上條晴夫さんの執筆回です。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第222号(読者数1894) 2012年3月27日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
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ールマガジンの記事を読んでいただいた率直なご意見・ご感想をいただけ
ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
副編集長:長瀬拓也・加藤恭子・藤原友和・佐内信之
登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」第221号

2012年3月25日

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
221号 2012年3月25日発行
(毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.自立した学習者を育てる授業、その「学びのしかけ」
「学びのしかけ」メールマガジン副編集長(ワークショップ担当)
上越教育大学大学院 学校臨床研究コース
(北海道公立小学校教諭)             加藤 恭子
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前号の長瀬さん同様、2年間副編集長を務めていただいた加藤恭子さん
の最終原稿です。合わせて「ワークショップ」チームとしての最終原稿で
もあります。          (石川 晋)
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1.自立した学習者を育てる授業、その「学びのしかけ」
「学びのしかけ」メールマガジン副編集長(ワークショップ担当)
上越教育大学大学院 学校臨床研究コース
(北海道公立小学校教諭)             加藤 恭子
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大学のプログラムでアメリカに行ってきました。いろいろなタイプの小
学校の視察と、その小学校において日本文化を伝える授業を行うというも
のでした。
そのときに見たアメリカの小学校の様子を、このMLのキーワードであっ
た「自立した学習者」「学びのしかけ」という観点から述べさせていただ
きます。

私がここで報告するものがアメリカの教育の全てであると受け取られて
しまうと語弊があります。あくまでもアメリカで行われている教育の一部
について述べるものであり、私というフィルターを通したものであること
をまずご了承ください。

公立2校と私立1校、日本でいう研究開発校1校、2大学の教育学部を視察
しました。私はそこでおもにKinderと1st, 2nd Gradeの低学年クラスに関
わりました。アメリカの小学校はKinder Class(幼稚園の年長)から始ま
ります。また、州ごとに教育内容が定められ、さらに学校ごとにかなり雰
囲気が違います。校長の経営方針が大きく影響し、校長が変わるとがらっ
と校風が変わるのだそうです。また、教師は市に採用され、一つの学校に
長く務めます。日本のようにいろいろな学年を持ち回るようなことはなく、
専門の学年を持ちます。一クラスは24人程度で、特別支援の必要な子ども
がいる場合、生活面を支援する支援員と学習面を支援する特別支援教育専
門の教師が付き添います。

学校により、校風や教育内容の違いがありましたが、すべての学校に共
通していたのは生涯学習の視点からIndependent Learner(自立した学習者)
を育てるという点と、日本でいう国語学習に力を入れている点でした。
授業システムは、少人数指導とプログラム選択による自学をセットにし
たもので、Kinder(幼稚園の年長)から徹底してIndependent Learner(自
立した学習者)の訓練が行われます。その基本は自己選択、自己決定です。
そのための教室環境として、学習者が「何をしたらよいか」「どのように
ふるまうべきか」がわかる掲示物があり、ソファや素敵な椅子等の読書空
間、寝転がって学習できる絨毯スペースなど学習者が選べるComfortable
(快適な)学習場所がありました。教具は一人分ずつジップロックに入れ
られており、ペンやはさみなどもわかりやすい場所に使いやすく収納して
ありました。
このあたりは、学びやすさの視点からの教室運営が行われていることが
わかります。どの教室も同じように子ども自らが動けるような設営がなさ
れていましたので、学校運営自体がその視点で行われていると考えられま
す。
また、子ども一人一人が学習者としての自分の目標と計画を持っており、
達成するごとにチェックをしていました。この目標は、その学校のルール、
つまり教育目標を個々のレベルで具体化したものでした。
集中できなくてぼーっとする子どもはいましたが、自分のやることがわ
からなくて先生を頼るといった子どもは皆無でした。トイレや水飲みは子
どもの好きなときに行きます。先生にいちいち確認はとりません。つられ
る子どももいません。先生もそのために授業を中断するようなことはしま
せん。「自立」がすべての根底にあることを感じました。

日本の場合、この「自立した学習者」を育てる土壌づくりから課題があ
るように感じます。教師の個性、学級経営の違いと称して、学校としての
目指す子ども像が共有されない現状はないでしょうか。あらゆる局面の指
導に一貫性はあるでしょうか。「学びのしかけ」というのは、1時間の授
業の中で行えるレベルのものもありますが、やはり、「自立した学習者」
を育てるという視点に立つならば、1時間の授業だけをいじるのではなく、
もっと大きなところを変えていかないといけないだろうということです。
それこそ、学級経営全体を、学校全体での取組を、義務教育9年間のプロ
グラムを、といったレベルです。そのためには、まず、自分の実践から自
覚的に取り組んでいくことであり、同僚や仲間と語り合って全体でブラッ
シュアップしていくことではないでしょうか。
今回の執筆陣には、「ライティング・ワークショップ」、『学び合い』、
「ワークショップ型授業」、「学習ゲーム」、「アニマシオン」、「イン
プロヴィゼーション」、「プロジェクト・アドベンチャー」、「美術教育」、
「ファシリテーション」といったさまざまな分野から、それぞれが考える
「自立した学習者」を育てる活動やその「学びのしかけ」を論じていただ
きました。この中に「自立した学習者」を育てるヒントがたくさん語られ
ていました。ぜひ、これからも折を見て参考にしていただければと思いま
す。きっと、読み返す度に新しい示唆を得られることでしょう。

さいごです。
「自立した学習者」の「自立」には、「自己の責任」という部分が含ま
れます。学び手の学ぶ責任が要求されるということです。私は最初、この
部分に少し違和感を覚えていました。授業中好きな時に水を飲み、好きな
ときにトイレにいくことができるけれども、授業は中断されることなく進
んでいきます。机間指導はなく、子どもの学び具合によって個別に支援し
ていくということもありませんでした。特別支援やギフテッド(高い能力)
の子どもには個に応じたプログラムが用意され、手厚い支援がなされてい
ましたが、その他大勢に対する細かい配慮は物足りないと感じました。み
んなが同じように課題をこなしていけるわけではなく個人差が目立ちまし
た。また、そこに教え合いや学び合いはありませんでした。(※授業にお
けるグループ活動やディスカッションはもちろん行われています)ひたす
ら自分の力でやっていくしかないのです。これでは、学力は定着しづらい
だろうと思えました。しかし、自分で選んだプログラムを自分の力だけで
こなしていく子どもたちの達成感や満足感、そして自己肯定感は高そうに
見えました。
これが日本なら、子どもたちの活動場面であってもやることがちゃんと
理解できているのかと教師は目を配ります。アドバイスを与えたり、とに
かくその1時間で達成すべきことを子どもがこなせるようにできるかぎり
の支援をしていくところです。物理的に指導不可能な部分があれば、教え
合いや学び合いをやらせてカバーしていくところです。
しかし、そんなことを考えながらハタと気づいたのは、この教師の責任
感による行動が、実は学び手の「学ぶ責任」を発生させなくし、「自立」
を阻害しているのではないかということです。日本の子どもたちは、成績
が良くても自己肯定感が低い傾向にあります。国際的な学力テストでは、
圧倒的にアメリカよりも日本の子どもたちの方が学力は高いという結果が
出ているんですけどね。学力テストで測れるものなんて一面的なものでし
かありませんが、それにしても、うーん、このあたりはジレンマといった
ところでしょうか。
私は、今回視察したアメリカの教育を手放しで素晴らしいものとは思っ
ていません。国民性や価値観の違いから成り立っている部分もあるように
感じられ、日本にそのまま持ち込んでも同じ結果が得られないことは簡単
に予想がつきますし、また、日本の教師のていねいさ、指導の質の高さも
改めて感じられたという部分があるからです。もちろん、学ぶべきところ
はたくさんありました。ですから、自分の実践に取り入れるとしたら、な
ぜ、それが自分の学級、日本の教育に必要なのか、それを進めて行く上で
必要な環境はどのレベルで変えていかなければならないのかといった見極
めが必要になると考えます。他者の実践に学ぶときの基本姿勢ですね。「
自立した学習者」を育てる「学びのしかけ」のヒントはこういうところか
ら組み立てていくとよいのだろうと思います。

2年間にわたり、みなさまに読んでいただいたこと感謝申しあげます。

授業づくりネットワーク誌の最新号
http://www.gakuji.co.jp/magazine/network/index.html
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【編集後記】
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アメリカに長期ステイしての学びの報告ということで、興味深く拝読し
ました。
協同学習を学ぶ中で、やはり「学び手の学ぶ責任」の問題がクローズア
ップされてきます。日本のクラスの実情に合うような「価値のインストラ
クション」をどう語りうるかということも、大きなポイントになると感じ
ています。いずれにしても、日本の伝統的な教育観、教師の責任感が、「
学び手の自立」を妨げる要因になっているのではないかという指摘には、
首肯できます。私もこれまで何度か、教師の「善意」が成長を妨げるとい
う言葉で指摘してきたことと重なるのでは、と考えました。「必要な環境
はどのレベルで変えていかなければならないのかといった見極めが必要に
なる」という指摘ともども、考えていかなければならないポイントになり
そうです。

次号は、編集長の私が執筆します。27日発行です。私は2年間という
任期でこのメールマガジンの編集を担当してきました。編集長として書く
記事は、次回が最終号となります。30日はプロジェクトリーダー上條晴
夫さんの担当です。それで二年間の取り組みは一応の締めとなります。後
2回、どうぞお付き合いください。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第221号(読者数1894) 2012年3月25日発行
編集代表:上條晴夫(haruo.kamijo@gmail.com
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ると幸いです。本メールマガジンの内容に少しずつ反映をしていきたいと
考えています。
編集長:石川晋
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